- 1. 柑橘(citrus)スイーツの魅力とは?
- 2. 地中海から始まる柑橘(citrus)文化のスイーツ革命
- 3. フランスのパティスリーが育てた柑橘(citrus)の芸術性
- 4. アジア各国の伝統菓子と柑橘(citrus)の融合
- 5. アメリカンデザートに見る柑橘(citrus)のアクセント活用
- 6. 中東のシロップスイーツとオレンジの共演
- 7. 南米のスイーツに見る柑橘(citrus)の存在感
- 8. モダンスイーツと柑橘(citrus)の未来:ミシュラン・ビーガン・グルテンフリー
- 9. おうちで楽しむ世界の柑橘(citrus)スイーツレシピ紹介
- 10. 柑橘(citrus)スイーツを通して世界を旅する:おすすめお取り寄せ&名店紹介
1. 柑橘(citrus)スイーツの魅力とは?

柑橘(citrus)がスイーツに選ばれる理由
スイーツの素材として柑橘類が好まれる理由の一つは、その万能性と応用力にあります。焼き菓子、ムース、ゼリー、ジャム、シャーベットなど、幅広いデザートに溶け込む適応力を持ち、温かいスイーツにも冷たいスイーツにも自然になじみます。加えて、酸味を活かすことで甘さとのコントラストが生まれ、味覚の「飽き」を防ぐ点も魅力のひとつです。濃厚なスイーツと合わせると後味を爽やかにし、軽めのデザートに使えば風味に奥行きを与えます。
また、柑橘類の皮や果汁は手軽に使える点もポイント。生のフルーツを使う場合はもちろん、加工されたピールやエッセンス、ジュースでも風味が活かされやすく、家庭でも扱いやすい食材といえます。これらの特徴から、世界中の菓子職人が日常的に取り入れており、ローカルから高級スイーツまで幅広く展開されています。
柑橘類(citrus)の持つ香りと酸味の魅力
柑橘類の最大の特徴は、鼻に抜ける鮮烈な香りとすっきりとした酸味です。たとえば、オレンジの明るい香りは気分を高め、レモンのシャープな酸味は甘さを引き立てる役割を果たします。こうした風味の鮮やかさは、スイーツ全体の印象を左右し、食べた瞬間の感動を演出します。
香りの源となるのは、柑橘の皮に含まれる精油成分(リモネンやシトラールなど)。これらは熱を加えても比較的残りやすく、焼き菓子にも豊かな香りを残してくれます。口に含んだときだけでなく、焼きあがる香りや食べる前の「香り立ち」にまで影響するため、プロの菓子職人たちが香りのバランスを重視する理由がここにあります。
また、酸味はただの味覚要素ではなく、「食欲を刺激する」という機能も持ち合わせています。そのため、食後のデザートとして柑橘スイーツは非常に相性がよく、脂っこい食事のあとでも口当たりが軽く感じられます。
健康志向と親和性のあるフルーツ系デザート
近年のスイーツトレンドでは、「甘さ控えめ」「ナチュラル志向」「健康に配慮した素材選び」が重視される傾向が強まっています。その中で柑橘類は、栄養価の高さとヘルシーなイメージから再注目されています。
たとえばビタミンCは、肌の健康や免疫力の維持に不可欠な栄養素としてよく知られており、柑橘類はその代表的な供給源です。さらに、クエン酸による疲労回復効果、食物繊維による整腸作用、抗酸化物質の働きなど、多方面に健康メリットがあります。
また、柑橘の色合いも視覚的に健康的な印象を与える要素です。鮮やかなオレンジやレモンイエロー、グリーンがデザートに彩りを添え、ナチュラルで清潔感のあるイメージを強調します。そのため、自然志向の高いヴィーガンスイーツやグルテンフリーデザートにも柑橘は積極的に取り入れられています。
2. 地中海から始まる柑橘(citrus)文化のスイーツ革命

イタリアの「レモンタルト」や「リモンチェッロケーキ」
地中海気候の恩恵を受けるイタリアでは、柑橘類、とりわけレモンが食文化の中心にあります。南部カンパーニャ州で育つ「ソレントレモン」や「アマルフィレモン」は皮が厚く香りが豊かで、スイーツに使うと華やかな風味が引き立ちます。代表的なスイーツが「クロスタータ・ディ・リモーネ(レモンタルト)」。甘酸っぱいレモンクリームとサクサクのタルト生地のバランスが絶妙で、家庭でも日常的に楽しまれる定番です。
もうひとつ特筆すべきは、レモンリキュール「リモンチェッロ」を使ったケーキ。スポンジ生地にリモンチェッロをたっぷり染み込ませた「トルタ・アル・リモンチェッロ」は、爽やかな香りとともにほんのりとした苦みも楽しめる、大人向けの味わい。地域色の強い柑橘を活かしたスイーツは、まさにイタリアの土地と気候が生んだ芸術ともいえます。
ギリシャの「ポートカリ・ピタ(オレンジパイ)」
ギリシャではオリーブオイルやヨーグルトを多用する伝統菓子の中で、「ポートカリ・ピタ(オレンジパイ)」が独自の存在感を放っています。このスイーツは、薄くちぎったパイ生地に卵やヨーグルト、砂糖を混ぜた生地を重ね、オレンジピールや果汁をたっぷり使って焼き上げたもの。焼成後にはオレンジシロップをたっぷり染み込ませるのが特徴で、外はカリッと、中はしっとりとした食感が魅力です。
地元では家庭の味として親しまれており、使用するオレンジは無農薬の自家栽培が主流。甘みと香りを兼ね備えた品種が多く、ピールの苦みをアクセントとして活かす調理法が一般的です。現地では朝食やカフェのお供として供され、濃いめのコーヒーと一緒に楽しむスタイルが根付いています。
スペインの「オレンジ入りチュロス」など
スペインでは、柑橘類の生産が豊富なバレンシア地方を中心に、日常的にオレンジが活用されています。一般的なイメージとしてはチュロス=シナモンシュガーの組み合わせが知られていますが、バレンシアではオレンジピールを練り込んだ「オレンジチュロス」も存在します。揚げたてのチュロスにオレンジの香りがほんのり広がり、チョコレートディップとの相性も抜群です。
また、スペインの家庭で作られる「ナランハ・コンフィータ(オレンジの砂糖漬け)」は、そのまま食べるだけでなく、ケーキや焼き菓子のトッピングとしても使われます。手間はかかるものの、果皮を柔らかく煮詰め、時間をかけて乾燥させたナランハは、まさに手作りの贅沢品として根強い人気があります。
3. フランスのパティスリーが育てた柑橘(citrus)の芸術性

タルト・オ・シトロン(レモンタルト)の歴史と進化
フランスのパティスリーにおいて、柑橘の代表格ともいえる存在が「タルト・オ・シトロン」です。19世紀後半、パリの高級菓子店で洗練されたデザインとともに登場したこのスイーツは、以来、フランス全土で愛される定番となりました。レモンの酸味を活かしたクレーム・シトロン(レモンクリーム)は、バターのコクと相まってリッチな味わいを生み出します。近年では、イタリアメレンゲを合わせて華やかなビジュアルに仕上げたスタイルや、ピスタチオやタイムを合わせたアレンジなど、現代のパティスリーらしい創作性も加わり進化を続けています。
タルト・オ・シトロンは、フランス菓子における「酸味と甘味のバランス」の美学を象徴する存在でもあります。主役のレモンは、香りが強く酸味の際立つ「ユンヌ・ヴェール」など特定品種が好まれ、細かな温度管理とタイミングで酸味の角を取る技術が求められます。味・香り・見た目のすべてにおいて、フランス菓子の洗練が凝縮された逸品です。
グレープフルーツのムースケーキと香りの重奏
フランスのモダンパティスリーでは、柑橘の中でも「グレープフルーツ」が注目されています。その理由のひとつが、苦み・酸味・果汁感の複雑なバランスにあります。特にピンクグレープフルーツを使ったムースケーキは、ふわっとした軽やかな食感とともに、ジューシーで大人びた風味を楽しめると人気を集めています。
ムースやジュレの層構造でグレープフルーツのニュアンスを立体的に表現するのが特徴で、ホワイトチョコレートやエルダーフラワー、シャンパンといった素材との組み合わせも多く見られます。味だけでなく、香りが層ごとに異なる“香りの重奏”を楽しませる演出がなされており、食べるたびに異なる印象を与えるよう設計されている点もフランス菓子らしい緻密さといえます。
柑橘(citrus)とビターショコラのマリアージュ
フランスでは、ショコラティエの間でも柑橘の組み合わせは非常に高い評価を受けています。特にビターショコラとのペアリングは、単なるフレーバーを超えた“香味の構築”として扱われています。代表例が「オランジェット」。オレンジピールを砂糖で煮詰め、乾燥させてからビターチョコレートでコーティングしたこの伝統菓子は、香りの高さとほのかな苦味の融合が絶妙で、シンプルながらも完成された味わいを誇ります。
また、レモンやベルガモットなど、より繊細な香りを持つ柑橘類とダークチョコレートを合わせたタブレットやガナッシュも人気です。温度帯による香りの変化を活かすため、保存・提供方法にも工夫が凝らされており、素材の持つ風味が最大限に引き出されるよう計算された構成になっています。
4. アジア各国の伝統菓子と柑橘(citrus)の融合

日本の柚子を使った和菓子(ようかん、ゼリー)
日本における柑橘の代表格といえば「柚子(ゆず)」が筆頭に挙げられます。柚子の香りは古来より香味付けとして親しまれており、和菓子の世界でも重要な役割を果たしています。中でも「柚子ようかん」は、こし餡のやさしい甘さと柚子の清涼感が見事に調和した逸品です。柚子皮の細かい刻みを加えることで食感にアクセントを与え、見た目にも上品な趣が加わります。
また、近年では「柚子ゼリー」も人気を集めています。寒天や葛を使った透明感のある仕上がりが特徴で、柚子果汁の酸味と香りをストレートに味わえるのが魅力。冷やすことで香りが際立ち、夏の涼菓として定番化しています。柚子は単なる風味付けにとどまらず、日本の四季を感じさせる風味として和菓子全体の印象を引き締めています。
中国の陳皮入り月餅やオレンジゼリー菓子
中国では、柑橘の皮を乾燥させた「陳皮(ちんぴ)」が薬膳として古くから利用されており、菓子の世界でも香り付けとして広く使われています。とくに中秋節に欠かせない「月餅」には、豆沙(あん)やナッツ類に加えて陳皮を混ぜ込んだバリエーションが存在します。ほのかな苦みと香りが甘みを引き締め、奥深い風味を生み出すと評価されています。
また、広東省や香港ではオレンジを使ったゼリー状のお菓子も定番です。寒天に似た「亀ゼリー(亀苓膏)」にオレンジの果肉やピールを加えることで、伝統的な薬膳スイーツに現代的なアレンジが加わっています。柑橘は体を冷やしすぎず、香りによって食欲を増進するため、日常の養生食の一環としても浸透しています。
ベトナムの柑橘(citrus)プリン「バインカム・カム」
ベトナムでは、柑橘を使ったスイーツとして「バインカム・カム(Bánh cam cam)」が注目されています。このスイーツは、ココナッツミルクと卵、コンデンスミルクを合わせたプリンにオレンジジュースやピールを加えて蒸し上げたもので、なめらかな食感とともにオレンジの甘酸っぱさが口に広がります。南国ならではの濃厚な素材感の中に、柑橘のさわやかさが加わることで、飽きのこない仕上がりとなっています。
また、ベトナムの屋台スイーツ「チェー(Chè)」の中にも、柑橘を使ったバリエーションが存在します。柚子やライムのゼストをトッピングに使用し、氷を加えたグラスデザートに香りを添えるスタイルが一般的で、暑い気候にぴったりの清涼感を演出します。伝統的でありながら、自由度の高い調理法が特徴的です。
5. アメリカンデザートに見る柑橘(citrus)のアクセント活用

キーライムパイの人気とその由来
アメリカの柑橘スイーツといえば、まず挙げられるのが「キーライムパイ」です。フロリダ州キーウエスト発祥のこのパイは、小ぶりで香り高い「キーライム」を主役にしたシンプルながらもインパクトのあるデザート。コンデンスミルク、卵黄、キーライム果汁を混ぜて作るフィリングは、なめらかで濃厚なのにさっぱりとした後味が特徴です。クラムクラスト(砕いたグラハムクラッカーを固めた土台)との相性も抜群で、酸味と甘みのバランスが多くの人に愛されています。
キーライムは酸味がシャープで果汁が少ない品種ですが、その分香りが非常に強く、加熱しても風味が損なわれにくい点が評価されています。生の果汁を使うことにこだわる店も多く、シンプルな構成だからこそ、柑橘の個性がストレートに表れるスイーツといえます。
オレンジ入りマフィンや柑橘(citrus)系パウンドケーキ
アメリカでは家庭で焼くベーキング文化が根強く、マフィンやパウンドケーキといった焼き菓子にも柑橘は頻繁に取り入れられています。特に朝食やブランチ向けに人気なのが「オレンジマフィン」。オレンジ果汁や皮(ゼスト)を生地に練り込むことで、軽やかな香りと自然な甘みが生まれます。チョコチップやクランベリーとの相性もよく、フレーバーバリエーションも豊富です。
また、オレンジやレモンを使ったパウンドケーキも定番。アイシングに柑橘果汁を加える「グレーズドケーキ」は、見た目も美しく、味に統一感が出る仕上がりになります。焼き上がりに果汁シロップを染み込ませるなど、柑橘の香りやジューシーさを際立たせる工夫が凝らされています。食後のデザートというよりは、日常のおやつやギフトとして親しまれている存在です。
健康志向スイーツに欠かせないレモンの役割
アメリカのスイーツ文化は、過去の甘さ重視から、現在は健康志向の流れへとシフトしています。その中でレモンは、“爽やかさ”と“軽やかさ”の象徴として、積極的に用いられています。グルテンフリーやヴィーガン対応のケーキでも、豆乳やココナッツオイルなどの風味にレモンの酸味を加えることで、全体の味が引き締まり、満足感のある一品になります。
また、精製糖を控えた「レモンバー」や「レモンカップケーキ」なども人気。アーモンドフラワーやオートミールベースの生地に、レモン果汁やゼストを加えることで、素朴ながら風味豊かなスイーツが完成します。酸味と香りの力で“物足りなさ”を感じさせない点が、レモンの持つ強みです。
6. 中東のシロップスイーツとオレンジの共演

オレンジを使った「バクラヴァ」や「セモリナケーキ」
中東の伝統菓子といえば、たっぷりのシロップを含んだ濃厚な甘さが特徴ですが、そこに爽やかなアクセントとして加えられるのがオレンジです。代表的なのが「バクラヴァ」。薄いパイ生地(フィロ)を何層にも重ねて焼き上げた後、ナッツとともにオレンジフレーバーのシロップを染み込ませたバリエーションがあります。ピスタチオやくるみのコクに、オレンジの香りと軽やかな酸味が加わることで、食べ飽きることのない深みのある味わいが生まれます。
もうひとつの定番が「バスブーサ(セモリナケーキ)」と呼ばれる焼き菓子。セモリナ粉にヨーグルトやバターを加え、焼き上げた後にオレンジシロップをたっぷりかけるこのケーキは、冷やすことでしっとりとした食感に変化します。柑橘の香りがシロップに移ることで、しっかり甘い中にも清涼感が宿り、夏場にも重たくならない工夫がなされています。
ローズウォーター×柑橘(citrus)の香りの融合
中東スイーツにおいて、香りづけは非常に重要な要素であり、その中でも「ローズウォーター」と「オレンジブロッサムウォーター(橙花水)」はよく使われます。これらのフローラルな香りに、果実としてのオレンジやレモンのフレーバーが加わることで、複層的な香りの広がりが演出されます。
たとえば「マアムール」と呼ばれるデーツ入りクッキーでは、オレンジゼストや花水を加えることで、噛むごとに異なる香りが感じられます。さらにゼリー状のお菓子「トルコ風デライト」では、柑橘フレーバーとローズやカルダモンを重ねて香りを調和させる技術が重視されています。香りが主役になる文化圏ならではの、繊細な香味構成が光ります。
デーツやピスタチオとの調和
中東菓子に欠かせない食材のひとつに「デーツ(ナツメヤシ)」があります。ねっとりとした甘さを持つデーツに、柑橘の酸味や香りを加えることで、より立体的な味わいが生まれます。近年では、オレンジ果皮や果汁で煮たデーツをペーストにし、パイ生地やクッキーに包んで焼くスタイルも人気です。
また、ピスタチオの濃厚な風味とも柑橘はよく合います。たとえば、ピスタチオを使ったクリームにオレンジピールを混ぜたペーストをパイやクレープに詰めることで、脂肪分の豊かさの中に爽快感を加える役割を果たします。特に無糖のピスタチオと甘みのあるオレンジを合わせた場合、香りのコントラストが際立ち、食後感が軽くなるのも特筆すべき点です。
7. 南米のスイーツに見る柑橘(citrus)の存在感

ブラジルのオレンジパウンド「ボロ・デ・ラランジャ」
ブラジルの家庭で親しまれているスイーツのひとつが「ボロ・デ・ラランジャ(Bolo de Laranja)」です。これは、オレンジ果汁と皮をふんだんに使ったパウンドケーキで、朝食や午後のティータイムによく登場します。しっとりとした生地に、オレンジの自然な甘みと香りが広がる、素朴ながら奥深い焼き菓子です。
特徴的なのは、生地に生のオレンジ果実を丸ごとブレンダーにかけて混ぜ込むレシピが多い点。これにより、香りとともに果肉のジューシーさがしっかりと残り、家庭ごとの個性も出やすくなります。また、焼き上がりにオレンジ果汁を使ったグレーズをかけることで、見た目にも艶やかさが加わり、しっとり感もアップ。冷やして食べるとさらに風味が引き立ちます。
メキシコのレモン入りフランやゼリー菓子
メキシコのデザートの中でもよく登場するのが「フラン(Flan)」です。スペイン由来のプリン状の焼き菓子で、バニラ風味が主流ですが、現地ではレモンやライムを加えたバリエーションも多く見られます。中でも「フラン・デ・リモン(レモンフラン)」は、卵のまろやかさにレモンの酸味と香りが加わり、食後にぴったりのすっきりとした一品として人気があります。
また、レモンゼリーやオレンジゼリーなど、柑橘系の果汁を使った冷菓も定番。メキシコではゼリーに唐辛子パウダーやチリソースを少量加えるアレンジも存在し、柑橘の酸味との対比がクセになる味わいです。こうした甘み×酸味×辛味の組み合わせは、南米ならではのユニークな食文化の一端を感じさせます。
パッションフルーツ×柑橘の爽やかコラボ
南米では、トロピカルフルーツの宝庫として知られる地域も多く、特にブラジルやペルーでは「パッションフルーツ(マラクジャ)」と柑橘類を合わせたデザートが広く普及しています。柑橘の一種でもあるパッションフルーツは、果肉の強い酸味と豊かな香りが特徴で、レモンやオレンジと組み合わせることでより多層的な風味が生まれます。
たとえば、オレンジムースにパッションフルーツソースをかけたデザートや、オレンジのスポンジケーキにパッションフルーツクリームを挟んだケーキなどが挙げられます。甘さと酸味、そして香りのボリュームが際立ち、華やかでリフレッシュ感のある味わいに仕上がります。こうした組み合わせは、現代的な南米スイーツの中でも特に洗練された存在として注目されています。
8. モダンスイーツと柑橘(citrus)の未来:ミシュラン・ビーガン・グルテンフリー

世界のパティシエが注目する柑橘(citrus)の再構築
近年のモダンスイーツでは、柑橘の使い方が大きく進化しています。ただ果汁や皮を加えるのではなく、「柑橘そのものの香り・酸味・苦味・水分量・テクスチャー」まで分解・再構築するアプローチが広がりつつあります。たとえば、ミシュラン星付きレストランのデザートでは、オレンジのピールを乳酸発酵させて複雑な香りを演出したり、レモンの果汁をスプレードライして粉末状にし、繊細な酸味のアクセントとして使用する例が増えています。
さらに、スイーツ全体の構成にも変化が見られます。シンプルな甘さをベースにしつつ、柑橘のほろ苦さや皮の食感を「コントラスト」として活かし、記憶に残る味わいを目指すパティシエが多くなっています。これにより、柑橘は単なる“さっぱり素材”ではなく、“主役級の風味設計パーツ”へと進化しています。
柑橘(citrus)のエッセンスを生かしたゼロシュガースイーツ
ヘルシー志向が強まるなか、シュガーフリー・低糖質スイーツの分野でも柑橘の存在感は増しています。人工甘味料やオルリゴ糖、アガベシロップなどを使用する場合、甘さが単調になりがちですが、柑橘の酸味や香りを加えることで、味わいに立体感が生まれ、満足感のある仕上がりになります。
たとえば、砂糖不使用のレモンゼリーや、エリスリトールを使ったオレンジムースなどでは、柑橘のフレッシュな風味が自然な甘さと調和し、甘さ控えめを感じさせない設計が可能です。さらに、精油成分を活かしたミントやバジルとのフレーバーコンビネーションも注目されており、柑橘の多彩な使い方が味覚の幅を広げています。
ヴィーガン仕様のレモンチーズケーキなどの展開
動物性食品を使用しないヴィーガンスイーツの分野でも、柑橘は欠かせない素材です。とくに人気なのが「ヴィーガン・レモンチーズケーキ」。カシューナッツや豆腐をベースとしたクリームに、レモン果汁やゼストを加えることで、本物のチーズケーキのようなコクと爽やかさが再現されます。
レモンの酸味は、乳製品を使わないレシピにおいて“締まり”を与える重要な役割を果たし、また黄みがかった色合いも自然な見た目として親和性が高い点が評価されています。加えて、グルテンフリーのクラストに米粉やアーモンドフラワーを使うことで、アレルゲン対応も進んでいます。こうしたスイーツは、レストランのコースの締めだけでなく、カフェやオンラインショップなど幅広い販路でも支持を集めています。
9. おうちで楽しむ世界の柑橘(citrus)スイーツレシピ紹介

人気No.1:タルト・オ・シトロンの家庭版
フランスの定番スイーツ「タルト・オ・シトロン(レモンタルト)」は、家庭でも意外と手軽に楽しめるスイーツです。市販のタルト台を使えば時短にもなり、初心者でも本格的な味わいを再現できます。基本の材料は、卵、グラニュー糖、レモン果汁、レモンの皮(ゼスト)、無塩バター。この4つの要素を湯煎でじっくり加熱しながら練り上げ、濃厚でなめらかなレモンクリームを作ります。
仕上げにイタリアンメレンゲをのせて表面をバーナーで焼くと、見た目にも華やか。甘みと酸味のバランスが良く、冷蔵庫で一晩冷やすことで味がなじみ、より一層美味しくなります。冷凍保存も可能で、作り置きスイーツとしても重宝されるレシピです。
材料2つで作れるオレンジゼリー
シンプルな材料で作れる「オレンジゼリー」は、子どもから大人まで楽しめる万能デザート。用意するのは、100%オレンジジュースと粉ゼラチン(または寒天)の2つだけ。ジュースを温めてゼラチンを溶かし、型に流して冷やすだけの簡単な工程で完成します。
仕上げに果肉やミントを添えると、見た目にも美しく、ひと手間加えた印象になります。市販のジュースを使ってもよいですが、生のオレンジを搾ったジュースで作れば、香りも味も格段にアップします。砂糖を加えなくてもフルーツの自然な甘みが引き立ち、糖分を控えたい方にもおすすめです。
子どもと作れる柑橘(citrus)マフィンレシピ
休日の朝やおやつの時間に、親子で楽しめるのが「柑橘マフィン」。オレンジやレモンを使ったマフィンは、混ぜて焼くだけのシンプルな工程なので、お菓子作りに慣れていない方でも安心して取り組めます。基本の材料は、薄力粉、ベーキングパウダー、卵、砂糖、牛乳、バター(または油)、柑橘の果汁と皮。
ポイントは、レモンやオレンジの皮をすりおろして生地に加えること。焼いている間にキッチン中が爽やかな香りで満たされ、出来上がりを待つ時間も特別なものになります。焼き上がったマフィンに、柑橘果汁を使った簡単なアイシングをかければ、見た目にも本格的な仕上がりに。アレンジでチョコチップやナッツを加えるのもおすすめです。
10. 柑橘(citrus)スイーツを通して世界を旅する:おすすめお取り寄せ&名店紹介

世界の有名パティスリーの柑橘(citrus)スイーツ(フランス・アメリカ・日本)
フランス・パリの名門「ピエール・エルメ」では、シトロン(レモン)やユズを使ったマカロンやタルトが常に人気を集めています。レモンの酸味だけでなく、皮の香りやバターとの調和にこだわったレシピは、シンプルながら極めて完成度の高い一品です。同様に「ラデュレ」でも、グレープフルーツ風味のムースやオレンジのゼスト入りマドレーヌなどが定番として並び、世界中の柑橘好きの注目を集めています。
アメリカ・ニューヨークでは「ドミニク・アンセル・ベーカリー」が提供するレモンヨーグルトケーキや、キーライムパイをモダンにアレンジしたデザートが話題に。柑橘特有の香りや酸味を、遊び心ある構成で昇華させたスイーツが都市部を中心に人気を博しています。
日本国内でも、「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」や「アトリエうかい」など、柑橘を主役にした限定スイーツを季節ごとに展開しており、国産のユズや温州みかんの特徴を活かした繊細な味づくりが評価されています。
海外お取り寄せ可能な柑橘(citrus)系焼き菓子やゼリー
近年は、越境ECの進化により海外の柑橘スイーツも手軽にお取り寄せできるようになりました。たとえば、イタリアの「アマルフィレモンケーキ」は人気の高い輸入焼き菓子のひとつ。しっとりとした生地に強いレモンの香りとほのかな苦みが広がり、コーヒーや紅茶との相性も抜群です。
また、フランス発の「シトロン・コンフィ(レモンの砂糖漬け)」や「オレンジピール入りビスキュイ」は、常温保存可能で日持ちも良く、ギフト需要にも応えています。加えて、アメリカからは冷凍配送で「キーライムパイ」や「レモンバー」を扱う専門店が登場し、本場の味を自宅で楽しめる時代になっています。
日本で買える、世界の味に近いおすすめスイーツ
国内でも、輸入素材を取り入れたスイーツブランドが増えており、世界の柑橘スイーツをイメージした商品が多く展開されています。東京・自由が丘の「ラ・ヴィエイユ・フランス」では、レモンタルトやグレープフルーツムースをフランス伝統菓子に近いレシピで提供しており、現地の味を求めるファンに好評です。
さらに、オンライン専門ブランド「サンク・ド・スイーツ」では、レモンやオレンジを使ったグルテンフリーの焼き菓子セットを展開し、全国発送に対応。無添加・自然派素材へのこだわりとともに、世界のスイーツトレンドを取り入れた新しい商品が登場しています。
百貨店やセレクトショップでも、海外ブランドのレモンタルトやオレンジケーキが取り扱われることが増えており、店舗に足を運ばずとも、世界の柑橘スイーツの風を感じられるラインナップが充実しています。